

家族で神戸にある大本山須磨寺に行ってきました。歴史の教科書でも有名な源平の戦いゆかりの地であり、様々なお堂や仏様、ユニークなスポットが点在する須磨寺は、見どころが本当にたくさん!一日を通して、歴史と信仰、そして新しい発見に触れることができる素晴らしいお寺でした。
【大本山須磨寺について】
真言宗須磨寺派の本山で、正式名は上野山福祥寺。古くから「須磨寺」の通称で親しまれている寺院です。神戸市須磨区に位置する大本山須磨寺は、今なお平家物語の哀話が色濃く残る古刹です。源平「一ノ谷の戦い」ゆかりの地として特に知られ、平敦盛と熊谷直実の物語は広く語り継がれています。広大な境内には、歴史を感じる史跡はもちろん、ユニークな仏様や異国情緒あふれるスポットなど、多様な見どころが点在し、訪れる人々を魅了しています。

【アクセスと駐車場情報】

須磨寺を訪れるにあたり、まずは駐車場探しから。私たちは「タイムズ須磨寺正覚院」に駐車しました。料金は最初の60分が500円、以降は30分ごとに200円です。夜間(20時~翌6時)は60分100円と少しお得になるようですね。

ちなみに、須磨寺の奥の院にも無料の駐車場があるそうです。奥の院まで車で行きたい方や、奥の院を中心に巡りたい場合はこちらを利用するのも良いかもしれません。私たちは、お寺の入り口に近いタイムズに停め、歩いて巡ることにしました。
【まずは手水舎で清めて正覚院へ】

お寺参りの基本として、まずは手水舎で手と口を清めます。

その後、駐車場のすぐ近くにあった「正覚院」へ。

正覚院のご本尊は愛染明王様。

大日如来の化身とされ、衆生を救うために三目六臂の姿を現し、知恵の弓と方便の矢で貧窮や災難を払い、幸運や愛敬を授けてくださるとのこと。

【参拝自由「祈りの回廊 亜細亜万神殿」ネパール大震災復興祈念堂】

正覚院の向かいにある「祈りの回廊 亜細亜万神殿」。

今回訪れて特に印象に残った場所の一つです。

ネパール大震災の復興祈念として整備されたそうで、ネパール最古の仏教寺院であるスワヤンブナート寺院を模したというお堂は、異国情緒にあふれています。

堂内には東南アジアやインドから寄進されたという石仏が安置されており、中心には迫力あるストゥーパ(仏塔)が鎮座しています。

ストゥーパはお釈迦様の遺骨を収めたことが始まりとされ、仏教そのものを象徴するものだそうです。

ここでは、仏教の本場ネパールの作法にならい、両親、弟、甥っ子、そして私も頭をつけてお参りをしました。

原始の神様とされるナーガの下で瞑想するお釈迦様の像。

薬師如来など、父も興味深そうに見入っていました。

亜細亜万神殿の内拝時間は9:00~17:00です。

須磨寺を訪れた際にはぜひ立ち寄ってみてください。

【仁王門をくぐり、観音池へ】

亜細亜万神殿を出て、龍華橋を渡ると立派な仁王門が見えてきます。

金剛力士像である阿形像と吽形像が私たちを迎え入れてくれました。力強い姿に身が引き締まります。

仁王門をくぐるとすぐ左手にあるのが、須磨寺観音池。

通称「かめの池」です。

池の中央には立派な千手観音菩薩像が鎮座しており、ここでも手を合わせて祈願しました。

【四国八十八か所お砂踏みができる櫻寿院】

観音池のすぐそばには「櫻寿院」という塔頭寺院があります。

こちらのご本尊は阿弥陀如来様。

特に興味深かったのは、四国八十八か所の霊場のお砂踏みができることです。石畳の下にお砂が入っているそうで、四国まで行かなくてもお砂踏みができるのはありがたいですね。
【平敦盛と熊谷直実「源平の庭」】

須磨寺を語る上で欠かせないのが、源平合戦、特に「一ノ谷の戦い」ゆかりの場所であることです。「源平の庭」は、その中でも最も哀しい場面として語り継がれる、平敦盛と熊谷直実の一騎討ちの様子を再現した庭園です。
【平家物語が伝える哀話「敦盛最期」】
1184年の一ノ谷合戦。源氏の荒武者・熊谷直実は、海へ逃れようとする平家の若武者、平敦盛を呼び止め、須磨の浜辺で組み討ちます。首を討とうと兜を取った直実が見たのは、なんと自分の息子と同い年くらいの、紅顔の美少年でした。

名乗ろうとしないその若武者に対し、直実は心を痛めます。助けたいと思った直実が後ろを振り返ると、梶原景時ら味方の軍勢がすぐそこまで近づいてきます。もういよいよ逃げられまい。「同じ事なら、直実が手にかけて、後のご供養をお約束します」と涙ながらに刀を執ります。その時、敦盛の腰に一本の笛が差してあるのに気づきます。それは、明け方、平家陣から聞こえてきた美しい笛の音色の主が彼であったことを示していました。戦場に笛を持つような心の優しい若者であったことに、直実の心は一層締め付けられます。

敦盛の首と笛を持ち帰った直実は、須磨寺の大師堂前の池でその首を洗い、義経が首実検を行います。そこで敦盛が平清盛公の甥であり、笛の名手であった17歳の敦盛公であることが分かります。持ち帰った笛を見て、涙を流さない者はいなかったといいます。この出来事を機に、直実は戦の世の無常を感じ、出家することとなります。

平家物語の中でも特に涙を誘うこの「敦盛最期」の物語は、今も日本人の心に深く刻まれています。須磨寺には敦盛の首塚が祀られ、敦盛の菩提寺として、そして源平ゆかりのお寺として親しまれてきました。

敦盛が愛用していた笛は「小枝の笛」、通称「青葉の笛」と呼ばれ、今も須磨寺の宝物館に展示されています。多くの人がこの笛を見るために須磨寺を訪れるそうです。松尾芭蕉や与謝蕪村といった文人たちもこの地を訪れ、句碑や歌碑が境内に点在しています。
この物語は謡曲や歌舞伎など、様々な形で今日まで語り継がれています。毎年、一ノ谷合戦で亡くなった源平の戦士たちを追悼する法要も行われているとのこと。この地で、実際にその哀しい物語に思いを馳せることができたのは貴重な経験でした。
【無料で入れる!源平ゆかりの宝物館】

「源平の庭」からすぐのところにある「宝物館」は、なんと無料で見学できます!ここには、「青葉の笛」をはじめとする平敦盛公と源平ゆかりの宝物、そして須磨寺の歴史的な宝物が展示されています。

宝物館の中心に展示されているのが、待望の「青葉の笛」。

向かって右側の少し太い方が「青葉の笛」で、左側の細い方は「高麗笛」だそうです。

館内には一ノ谷合戦の様子を再現した展示もあります。

歴史の場面をより具体的にイメージすることができます。

宝物館からは階段またはエレベーターで寺務所・納経所に上がれます。

動線も便利です。

【本堂、大師堂、三重塔、境内を巡る】

寺務所の向かいにあるのが須磨寺の「本堂」です。

現在の本堂は1602年に豊臣秀頼によって再建されたもので、内陣にある宮殿は1368年の建造と伝えられる重要文化財です。ご本尊は聖観世音菩薩様、脇には毘沙門天様と不動明王様が祀られています。
本堂の向かって左手には、大師堂、八角堂(経木供養所)、三重塔が並んでいます。

大師堂と八角堂の間には、源義経が腰かけたと伝わる「義経腰掛の松」。

そしてその前には、熊谷直実が敦盛の首を洗ったとされる「敦盛首洗池」があります。

三重塔の内部には大日如来様が祀られています。

塔の周囲には、ここでも四国八十八か所のお砂踏み霊場があり、お砂を踏んでお参りします。

その隣には「五猿の由来」

「親子地蔵」

「あつもり首塚」などがあります。

この辺りには参拝者専用のバス・自動車駐車場も。

青葉殿・納骨堂がありました。

【弁慶の鐘と撫で仏様】
本堂から向かって右側には「弁慶の鐘」がありました。弟と甥っ子が力強くついていました。

そのお隣にある「神戸七福神 福禄寿尊」。母が事前に「ここに行きたい!」と言っていたスポットです。「福」は幸せ、「禄」はお金、「寿」は長生き。その名前の通り、私たちに幸せ、富、長寿を与えてくださる神様です。長い頭は知恵を表し、にこやかなお顔は「笑う門には福来る」と教えてくださっているかのようです。

この福禄寿尊様は、頭を撫でるとボケ封じ、体を撫でるとガン封じになるといわれる、「撫で仏様」です。母は「ボケてみんなに迷惑かけたくないから!」と、一生懸命頭を撫でていました(笑)。
【奥の院への道のりと金剛杵】

さて、お寺の主要部を巡った後、私たちは奥の院を目指すことにしました。

奥の院参道沿いには十三仏や七福神が祀られています。

供養や家族の無事を願ってお参りしながら登ることができます。

観音菩薩様や阿弥陀如来様、ふれあいの布袋様など、様々なお姿を拝見しながら進みました。

しばらく登ると、大日如来様がいらっしゃり、もう一息。

一番上には宗祖である弘法大師様が祀られていました。

密教の法具である「金剛杵」が印象的で、パワーを感じました。

下山は近道を利用したので、思ったよりも早く感じました。

途中、無料駐車場があるのを確認し、五智如来の像なども見ることができました。

【大本山須磨寺 基本情報】
住所 | 兵庫県神戸市須磨区須磨寺町4丁目6−8 |
電話 | 078-731-0416 |
HP | 公式サイト |
【須磨寺 地図】
【須磨寺 駐車場】
【大満足の須磨寺参拝 まとめ】

源平の哀しい歴史に触れ、ネパールの仏教文化に触れ、七福神に笑顔をいただき、奥の院で清々しい空気を吸う。須磨寺は想像以上に多岐にわたる見どころがあり、歴史好き、仏像好き、そして少しユニークなスポットに興味がある方、どんな人でも楽しめるお寺だと感じました。

家族みんなでそれぞれの興味に合わせて楽しむことができ、とても充実した一日となりました。神戸を訪れる際は、ぜひ大本山須磨寺に立ち寄ってみてください!最後までご覧いただきありがとうございます。下記に周辺スポットや関連情報もございますので、ご参考ください。